「相手の気持ちや立場を想像できるか」が運命の分かれ道
みなさん、こんにちは!
あちゃまるです。
先日、息子の通う小学校から一通の手紙が届きました。中を開けてみると、胸が痛くなるような内容が綴られていました。今回はその出来事から湧き上がった「思い」と「気づき」について語りたいと思います。
目次
1. 手紙の内容
2. 想像力の欠如は、仕事の現場にも潜んでいる
3. 思いやりを仕事に活かす3ステップ
4. 想像力は、技術よりも先に磨くべきもの
1. 手紙の内容
さて、手紙の内容ですが…
息子を含む2年生の子どもたちが、学校で一人一鉢の野菜を育てていたそうです。きゅうりやナス、ピーマンなど、もうどれも大きく実りはじめていて、まもなく収穫というそのタイミングだったのですが、先日何者かにイタズラされてしまったというのです。
毎日水やりをしながら、子どもたちが一生懸命育ててきた野菜が土日の間にすべて引きちぎられ、校庭の木の枝に突き刺さっていたり、地面に粉々に踏み潰されていたりしていたといいます。学校はすぐに警察へ通報し、被害届を提出。学年主任の先生からは2年生の子どもたちへ丁寧に説明がなされ、臨時の全校集会も行われたそうです。そして、保護者の私たちにも「悲しい思いをしている子どもたちがたくさんいるので、家庭でも見守ってあげてほしい」という案内が届いたというわけです。
「なんという、心ない人間がいるものか」と、私自身ショックと強い憤りを感じました。
最近はニュースを見ていても、「どうしてそんなことができるのだろう」「本当に人間のすることなのか」と思うような出来事が決して少なくありません。
対策として、防犯カメラの設置や施錠管理の徹底など、講じられることはいろいろあるでしょう。しかし、それよりも何よりも必要なのは、まず人が相手の気持ちや立場を想像できるようになることではないかと思います。
この野菜を育てていた子どもが、こんなことをされたらどんな気持ちになるだろう。こんな卑劣なことをしたら、その子の成長を毎日楽しみにしていた親御さんがどう思うだろう。そういうことを少しでも想像できていれば、多くの悲惨な出来事は起こらないのではないでしょうか。
息子には、今回の出来事を「ただ残念だった」で終わらせるのではなく、人の気持ちを大切にすることを学ぶ機会にしてほしいと思いましたし、私自身もまた、相手の立場に立ってものを考えることを忘れないようにしたいと、あらためて感じた次第です。
2. 想像力の欠如は、仕事の現場にも潜んでいる
こうして自分の胸の内を整理しているうちに、ふと気づいたことがあります。相手の気持ちや立場を想像できるかどうかというのは、倫理や道徳の話だけにとどまらず、私たちが日々携わる企画・デザインの仕事においても、成果を大きく左右する分かれ道になっているのではないか、ということです。
企画書やプレゼン資料、提案書づくりにおいて、私たちはとかく「何を伝えたいか」「どう見せれば格好良いか」という作り手側の都合に意識を奪われがちです。けれども、本当に相手の心を動かす企画やデザインというのは、決まって「受け手がどう感じるか」を起点に組み立てられているものです。
具体的にどんな場面で想像力の欠如が表れやすいのか。よく見かける「NG例」と「OK例」を挙げながら見ていきましょう。
NG例 1:「弊社の強み」からはじまる提案書
【NG】「弊社は創業〇〇年、〇〇分野において豊富な実績を持ち…」という自己紹介からはじまる提案書
【OK】「御社が今直面している〇〇の課題、こんな風に解決できます」という相手の悩みからはじまる提案書
提案書は自社のカタログではありません。先方の担当者が読んだ瞬間に「これは自分たちの話だ」と感じられるかどうかが第一関門です。官公庁や自治体向けの提案であれば、なおさら「先方の担当者が会議や上層部にどう説明するか」まで想像して言葉を選ぶ必要があります。
Tips
提案書の冒頭部分を作ったら、いったん「先方の担当者」になりきって読み返してみてください。「自分ごと」として読めるかどうかが良し悪しの判断基準になります。
NG例 2:専門用語だらけのスライド
【NG】作り手にしかわからないような略語や業界用語が、説明なしに並んでいるスライド
【OK】「この言葉、初めて見る人にわかるかな?」と一度立ち止まり、平易な言葉に置き換えたスライド
ノンデザイナーがやりがちな失敗の多くは、技術不足というよりも「初めて見る人の戸惑い」を想像し損ねたことに起因しています。完成した資料を社内の誰かに30秒見せて感想を聞くだけで、思わぬ死角に気付けることがあります。
Tips
スライドを完成させたら、その分野をまったく知らない第三者に見せて、どこがよく分からなかったか聞いてみましょう。手軽な検証になるはずです。
NG例 3:手に取る人を想像していないチラシやパッケージ
【NG】伝えたい情報をすべて詰め込んだ結果、文字だらけで何が言いたいのか分からないチラシや、目の前の棚にあるのに素通りされてしまうパッケージ
【OK】このチラシを手にする人はどんな人だろう?と想像し、一番伝えたいことを絞り込んで大きく見せたチラシや、「これだ」と思わせるキャッチコピーが際立つパッケージ
チラシひとつ、パッケージひとつとっても同じことがいえます。それを手に取る人がどんな状況でそれと向き合うのか。想像が及んでいるかどうかで、出来上がるものの質はまるで違ってきます。
Tips
完成したチラシやパッケージは、ターゲットに近い身近な人に見せてみましょう。3秒で「何のためのものか」が伝わらなければ、もう一歩踏み込むサインです。
3. 思いやりを仕事に活かす3ステップ
「相手の気持ちや立場を想像する」といっても、具体的に何をすればよいのか迷う方もいらっしゃるかもしれません。私が企画や資料づくりの際に意識しているシンプルな3つのステップをご紹介します。
Step 1「誰が読む?」読み手のプロフィールを先に言語化する
資料を作りはじめる前に「これを読むのはどんな人物か」を特定します。年齢、役職、忙しさ、その分野の知識レベルなどなど、できるだけ具体的に思い浮かべるのです。「なんとなく偉い人向け」ではなく、「予算に厳しい50代の専務」といった粒度で想定するだけで言葉の選び方が変わります。
Step 2「何に困ってる?」相手の懸念・不安を書き出す
読み手が「この資料を受け取ったとき、最初に気にすること」をリストアップします。コスト?前例のなさ?導入の手間?その懸念に先回りして答えを用意しておくことが、「わかってくれている」という安心感につながります。
Step 3「どう感じてほしい?」読後の感情を設計する
最後に「この資料を読み終えたとき、相手にどんな気持ちになってほしいか」を考えます。「安心してほしい」「ワクワクしてほしい」「すぐ動き出したくなってほしい」その感情から逆算して、構成・言葉・デザインを整えていくと、全体に一貫したトーンが生まれます。
4. 想像力は、技術よりも先に磨くべきもの
デザインの技法やプレゼンの型を学ぶことはもちろん大切です。けれども、それらはあくまで「相手の気持ちや立場を想像する」という土台があってこそ、初めて生きてくる道具に過ぎません。土台を欠いたまま技法だけを身につけても、見た目は整っていながら誰の心も動かさない仕事になってしまいかねないのです。
子どもたちの野菜を踏みにじったその人物に、ほんの少しでも「育てていた子の気持ち」を想像する力があったなら。そう思わずにはいられない出来事でしたが、これは決して他人事ではなく、私たち自身が日々の仕事の中で、相手の気持ちや立場をどれだけ思いやれているかをあらためて問い直す契機でもありました。
良い企画、良いデザインとは、つまるところ「想像力の産物」なのだと、今回の出来事を通じて、あらためてそう強く感じました。
それでは、また
次回のブログでお会いしましょう!
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