PP貼りと類似加工の違いって何?役立つ知識を大公開
PP貼りは、紙の表面に加工をして、耐久性や光沢感・マット感を出す表面加工です。PP貼りの類似加工にはさまざまなものがあります。PP貼りと、類似するほかの表面加工とは何が違うのでしょうか?
今回は、PP貼りと類似加工との違い、PP貼りを活用するうえで役立つ知識を紹介します。
目次
・PP貼りとは?役割と特徴
・PP貼りの注意点
・PP貼りと類似加工との違い
・PP貼りの用途
・PP貼りをよく理解して上手に活用しよう
PP貼りとは?役割と特徴
PP貼りとはどのようなものか、基本的な知識を紹介します。
PP貼りとは何?
PP貼りとは、ポリプロピレンのフィルムを紙の上に熱で圧着して、貼り合わせる表面加工です。紙に光沢感・マット感・耐久性を加え表面保護をする役割があります。
PP貼りには、光沢感があるグロスPPと、つやを抑えたマットPPの2種類があります。加工後のグロスPPとマットPPの特徴は異なりますが、PP貼りを施した紙には、以下の共通する特徴があります。
- 耐湿性・耐久性に優れる
- 破れにくい
- 表面が汚れにくい
- 印刷のインキが落ちにくい
- フィルム分の厚みが出て紙の強度が増す
- 手触りに高級感や重厚感がでる
グロスPPとマットPPの特徴と違い
前述のとおり、PP貼りにはマットPPとグロスPPの2種類があり、加工するフィルムの違いから、加工後の印象や特徴に違いが出ます。
グロスPPは、紙の表面につやのあるフィルムを貼ります。
強い光沢感があり、ツルツルとした手触りです。クリアPPとも呼ばれます。加工前に比べて、印刷物の濃度と彩度が高くなります。発色が鮮やかなので、彩度の高い色や写真・イラストがある印刷物におすすめです。
マットPPは、紙の表面につやを抑えたフィルムを貼ります。
つやを抑えたシルキーな仕上がりで、さらさらとした手触りです。柔らかく、上品で落ち着いた雰囲気になります。加工前に比べて、印刷物の濃度は高く、彩度はやや低くなります。つやを出さずに高級感を出したい印刷物におすすめです。
PP貼りの注意点
PP貼りには、いくつかの注意点があります。
色味の見え方が変化する
PP貼りを施すと、印刷色の濃度が加工前より濃く見えたり、赤っぽくなったりします。印刷の色味にこだわる場合には注意が必要です。サンプルでは最終の色味がわからないので、色味にこだわる場合は試し刷りを事前に行う必要があります。
用紙全面にしか加工できない
PP貼りは、部分的な加工はできません。PP貼りをする場合は、用紙全面での用途に限ります。部分加工が必要な場合は、特性を理解したうえで、類似加工のニス引きを検討するとよいでしょう。
表面に筆記しにくい
PP貼りを施した紙面は、筆記がしにくくなります。これは、表面に貼られたPPフィルムがインキをはじくのが原因です。筆記する可能性がある紙面への加工は控えるのが得策です。
防水性・耐水性は弱い
PP貼りをした紙は、加工しない紙より防水性や耐水性は良くなります。しかし、紙に水がかかったり、紙が水に浸かったりすると、用紙とフィルムの間から水が浸透します。雨でぬれるおそれのある屋外ポスターや、浸水する可能性のある印刷物には、加工を避けたほうが無難です。
PP貼りを含めた表面加工全般について詳しくは、以下をご覧ください。
「表面加工で販促物に差をつける!表面加工が与える効果とメリットをご紹介」
PP貼りと類似加工との違い
PP貼りの類似加工には、ニス引き・パウチ加工・ホログラムラミネートがあります。それぞれの加工方法と特徴は以下のとおりです。
PP貼り
ポリプロピレンフィルムに接着剤を塗り、印刷された紙とフィルムを熱で圧着させます。フィルムの厚さや種類を変えることでデザインに変化をつけられます。頑丈で耐光性が高く、パウチ加工より柔らかいです。
ニス引き
紙の表面にニスを塗って耐久性を出す加工です。部分加工も可能で、印刷工程で加工を同時に行なえるため、納期が早く安価です。被膜はPP貼りに比べて薄く、強度は強くありません。ニス引きについては以下で詳しく紹介しています。
「ニス引きとは?PP加工との違いや方法・応用までを解説」
パウチ加工(耳あり)
紙をラミネートフィルムで挟みこむ加工です。紙よりも大きなラミネートフィルムを、紙の表面と裏面から挟みこんで熱をかけて圧着します。上下左右に出たラミネートフィルムが、熱で圧着されて一枚のフィルムになり耳ができます。若干厚くて頑丈、耐水性は高いです。少部数での対応が基本で、大ロットは苦手です。
ホログラムラミネート
ホログラム加工された透明フィルムを圧着して貼りあわせる加工です。紙やシール素材、プラスチックにも貼り合せることができます。ホログラムは、光の反射する角度により模様が浮き上がり、虹色に輝いて見えますひときわ目立ってきらびやかですが、価格は高めです。
それぞれの見積りで必要になるのは用途、サイズ、用紙の種類、数量、納品先の価格です。信頼のおける営業担当者かどうかも考慮しながら、加工方法を決めていきましょう。
PP貼り用紙選択のポイント
PP貼りには、向き不向きの紙があります。PP貼りの用紙選択で気をつけたいポイントを紹介します。
表面コーティングされた紙に向く
PP貼りに向いている用紙は、コート紙・マットコート紙などの表面コーティングされた紙です。
コート紙とは、上質紙の上にコート剤を塗った紙のことです。コート紙に折り目を入れると、折り目の部分のコート剤が割れてしまいます。PP貼りを施すことによって、このような折り目部分のひび割れを防ぐことができます。
表面が粗い紙は不向き
表面が粗いとPPフィルムがうまく貼れないため、上質紙・色上質紙・レザックなどの表面が粗い紙には不向きです。
薄い紙は不向き
PP貼りをする機械は、薄い紙に対応していません。紙が薄と、加工するときに反りかえったり、よれたりするおそれがあります。用紙は、できるだけ110kg相当以上のコシのある紙を使うことをおすすめします。
ファンシーペーパーなどの特殊紙は不向き
特殊紙とは、コート紙・マットコート紙・上質紙のいずれにも属さない紙です。特殊紙に分類されるファンシーペーパーは、特殊紙のなかでも見た目や手触りに、特に風合いや強い特徴がある紙をいいます。特殊紙は、表面に凹凸のあるものが多くPP貼りが上手に出来ない可能性が高いです。また、紙の風合いを生かすために特殊紙は使われることが多いため、PP貼りをすると、その風合いが消えてしまうため向いていないと言えます。
石油合成紙には不向き
PP貼りは、ポリプロピレンのフィルムを熱で圧着します。ユポ紙などの石油合成紙では、加工する際に紙がよれてしまうので向いていません。
PP貼りの用途
PP貼りは、さまざまな用途で使われています。PP貼りが、どんなアイテムに効果的に活用されているかを紹介します。
ポスター
PP貼りをポスターに施すと、耐久性が高まり、高級感が出ます。フィルム分の厚みで紙がしっかりするだけでなく、表面が汚れにくくなります。表面が汚れても、硬く絞った布でふくと汚れが落ちやすいです。紙面にフィルムを貼るので、印刷の色落ちも防げます。鮮やかな印象を与えたいポスターにはグロスPPが、落ち着いた印象を与えたいポスターにはマットPPが活用されています。
冊子(記念誌・雑誌・製品カタログ・作品集・教科書など)
PP貼りは、記念誌・雑誌・製品カタログ・作品集・教科書などの表紙に使われています。表紙は内容を印象づける、冊子のいわば顔です。
グロスPPは、彩度が高い色の写真やイラストを使用している表紙に効果的に使われています。マットPPは、上品な雰囲気や高級感を出したい冊子に効果的に使われています。
紙袋
PP貼りを紙袋に施すと耐水性が高まり、破れや汚れに強くなります。紙袋にフィルム分の厚みを加え、形状をしっかりと補強できます。グロスPPでもマットPPでも、高級感を出せます。
グロスPPは、豪華できらびやかな印象を与えるため、美容院・化粧品・ジュエリー・アパレルなどの業種や贈答品などに使用されています。マットPPは、やや落ち着いた印象になるため、企業の営業活動用として、または士業・不動産など信頼性が求められる業種で使用されています。
パンフレット・リーフレット
営業活動でひんぱんに使う、会社案内や商品説明などのパンフレットやリーフレットに、PP貼りは効果的です。
会社案内をカバンに入れて何度も出し入れしていると、カバンの中ですれてボロボロになってきます。PP貼りを施した紙は耐摩擦性が高くなり、表面に傷がつきにくくなります。
パンフレットやリーフレットにPP貼りをする場合には、可読性が高いマットPPがおすすめです。
グロスPPは紙面で光を強く反射するため、印刷の文字が読みにくい、よく見えないという問題が起こります。マットPPは、光を柔らかく反射するため印刷面が見やすく、パンフレットやリーフレットによく使われます。
PP貼りを活用したい「採用パンフレット」については、以下をご覧ください。
「採用パンフレット制作における効果的な構成やデザインのポイントを解説」
PP貼りをよく理解して上手に活用しよう
PP貼りは、工夫次第でイメージや用途にあった印刷物の作成に活用できます。さまざまな用途に活用できる一方で、用紙選択や加工後の特性に関する注意点もあります。ほかの類似加工との違いや注意点をよく理解して、PP貼りをより効果的に活用しましょう。
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