SDGsに貢献する印刷とは?環境に配慮した発行物にするためのポイントを解説
企業では多くの発行物を企画しますが、社会情勢を考え、環境に配慮した印刷について検討している担当者も多いのではないでしょうか。印刷に際してSDGsに配慮することには大きな意義があり、企業の社会に向けた活動のひとつとしてのアピールにもなります。今回は、印刷業界とSDGsの関係性、SDGsへの取り組み状況、印刷にSDGsを反映させる際のポイントを解説します。
目次
・SDGsに貢献する印刷を意識する重要性
・SDGsに貢献する印刷の取り組み
・SDGsに貢献する印刷物・販促物を考慮する際のポイント
・SDGsに貢献する印刷を施す具体例
SDGsに貢献する印刷を意識する重要性
印刷におけるSDGsの重要性や取り組みを解説します。
SDGsの概念
SDGsとは、「Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標」の略称で、持続可能な社会を実現するため、2030年までに世界的に達成すべき17の目標を定めたものです。世界的な課題に取り組むための共通の枠組みとして、2015年に国連で採択されました。
各目標は、世界中の国々や地域が直面する持続可能性に関する問題に取り組むための枠組みとして位置づけられています。貧困問題、教育、健康、飢餓撲滅、水と衛生、エネルギー、経済成長、産業と技術、気候変動、平和と公正、持続可能な都市開発などの、幅広い分野で課題が設定されています。
SDGsは、国連加盟国や国際機関、企業、市民社会、一般の人々など、さまざまな関係者が協力し、取り組むことを目的としています。ただし、あくまで世界的な課題に取り組むための共通の枠組みであり、強制される取り決めではありません。
しかし、社会に対する国や企業としての姿勢を示すためにも、それぞれが実現可能な分野において、自主的に取り組みを進めています。
印刷業界のSDGsへの取り組みの重要性
印刷業は、多量のエネルギーを消費する産業のひとつで、印刷に使用する紙が主に森林資源でつくられていること、インキには有機溶剤が使われるケースがあることなどから、環境問題とのかかわりが深い業界です。
また、印刷物は社会のすべての分野に広くかかわりがあり、社会的にも注目度が高いため、SDGs推進のけん引役となります。各企業にとってはエコ印刷の選択や拠点の集約などによって、コスト軽減につながることが期待できます。
印刷業界がSDGsに取り組むことにより、環境、社会、経済などのさまざまな方面に好影響を与えられると考えられます。
印刷業界におけるSDGsへの基本的な取り組みは、次のようなものです。
⮚ 廃棄物の削減
印刷業では紙やインキなどを使用し、パッケージや梱包材といった廃棄物も多く発生します。そのため、廃棄物の削減に取り組むことで、SDGsへの貢献が可能です。環境に配慮した簡易包装を選ぶ、印刷方法を工夫してインキの使用量を抑えるなどの取り組みによって、廃棄物を減らしながら、環境にやさしい事業運営へとシフトできます。
⮚ エネルギーの削減
印刷業界は、機械を動かすために多量のエネルギーを消費します。これを、再生可能エネルギーの使用に切り替える、エネルギー効率を改善するなどして、エネルギーの削減に取り組むことができます。
⮚ 社会的責任についての姿勢
印刷業では、顧客のニーズに合わせて製品を提供することが求められます。その一方で、SDGsに貢献するためには、社会的責任にも目を向ける必要があります。例えば、社会的に問題がある製品やサービスを提供しない姿勢や、従業員の健康や福利厚生の充実など、社会的責任を意識することがSDGsにつながります。
⮚ 持続可能なビジネスモデルの構築
SDGsに貢献するためには、印刷業界として持続可能なビジネスモデルを構築することも必要です。例えば、環境に配慮した製造工程、サプライチェーンの見直し、社会的なニーズに応える製品・サービスの提供などが考えられます。
SDGsに貢献する印刷の取り組み
印刷関連のSDGsに配慮した具体的な取り組み方法を紹介します。
ユニバーサルデザイン
色とデザイン要素を併用しながら多様性に配慮し、誰にでもわかりやすく見やすい印刷を意識する、特殊印刷により視覚障害のある人でも読み取れるようにするといった方法があります。
ユニバーサルデザインは、SDGsのなかで直接的に言及されている目標ではありません。しかし、ユニバーサルデザインは、障がい者や高齢者などの社会的弱者が社会的・物理的障壁を克服し、社会の一員として活躍できるようにすることを目的としているため、SDGsの精神と一致します。
ユニバーサルデザインは、SDGs の目標10「人や国の不平等をなくそう」や、目標11「住み続けられるまちづくりを」、目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」に関連する取り組みとして位置付けることができます。また、ユニバーサルデザインは、SDGの中心的な価値観である「誰一人取り残さない」という理念にも合致します。
持続可能な消費生産パターンの促進(目標12)
SDGsの目標12「つくる責任、つかう責任」に関連する取り組みです。使用済み紙のリサイクルを推進する、環境に配慮したインキやトナーの使用を促進する、印刷物のデザインやレイアウトを最適化し、余白の削減を促進するなどにより、持続可能な生産とそこから派生する消費活動に貢献します。
印刷紙や原材料に関する配慮としては、FSC®認証紙、ベジタブルインキ(植物油インキ)の使用などが挙げられます。
気候変動に対処する(目標13)
上記の目標12とも関連しますが、SDGsの目標13「気候変動に具体的な対策を」に関連する取り組みです。二酸化炭素の排出量を削減するため、省エネルギー型の印刷機器を導入することや、水なし印刷機に変更することで、作業時の環境負担の軽減につながります。
カーボンオフセット制度に参加し、明確な数値目標を持つことも有効な活動です。
陸上生物多様性の保全(目標15)
SDGsの目標15「陸の豊かさも守ろう」に関連する取り組みです。FSC®認証紙の使用推進は、森林保護に貢献します。また、林業における持続可能な管理を支援することも、印刷業界の大きな役割です。
働きがいのある人間らしい雇用(目標8)
SDGsの目標8「働きがいも経済成長も」に関連する取り組みです。具体的には、すべての人が働きがいのある職に就くことができ、人間らしい労働環境を実現することで、経済成長を促進し、持続可能な開発を達成することを目的としています。
印刷業界でも、働きがいのある職場の創出、技能開発や職業訓練の推進、安全で健康的な労働環境の整備、賃金の適正化や最低賃金制度の導入などを進めます。これらの取り組みを通して、労働権を守り、働く人々の福利厚生を向上させることで社会的責任を果たし、広く社会に貢献できます。
SDGsに貢献する印刷物・販促物を考慮する際のポイント
印刷物や販促物を発注する際、SDGsに配慮するためのポイントは以下のとおりです。
SDGsを意識した企画立案
情報をまとめる、メディアを見直すなど、無駄やロスコストのない生産計画を検討します。紙媒体とデジタル媒体の連動なども含め、企画からSDGsを意識します。
エコフレンドリーな素材を選ぶ
素材選定においては、持続可能な森林管理認証を取得した紙の使用や環境負荷の低いインキの使用、環境に配慮したリサイクル素材の使用などを検討します。また、エコ印刷やアイテムの提案など、エコフレンドリーについてのアドバイスを受けられる事業者に依頼することも大切です。
生産過程でのCO2排出削減
発注の際、製造過程においてSDGsに積極的に取り組んでいる事業者であることを確認する必要があります。環境負荷に配慮した機器類、施設設備の整備が行われている、水やエネルギーの節約が実施されている、廃棄物の適正な処理が行われているなどの点に留意します。
環境負荷の低い輸送手段の選定
輸送・配送になるべく環境に負担をかけない方法を考え、適正な梱包や配送方法の選定に応じられる事業者であれば信頼関係を構築できます。
デザイン・コンテンツへの配慮
SDGsに沿ったメッセージやデザインの採用、SDGsに配慮したデザインを考慮します。障がい者や高齢者など、多様な人々が利用しやすいデザインを用いる、多言語対応など多様性に合わせられる、人権や社会正義を尊重した内容であるといったことも大切です。
SDGsに貢献する印刷を施す具体例
SDGsを意識した印刷物・販促物にするためにはどのような手法があるかを紹介します。
印刷材料の選択
紙質やインキは環境に配慮した材料を選びます。紙質は、リサイクル紙やFSC認証を受けた紙を使用することで、リサイクルによる資源保全や廃棄物削減、森林保護活動への貢献につながります。
インキは、植物由来のインキや水性インキなど、環境に優しいインキを使用することで、化学物質の排出を抑え、環境に配慮した印刷物を作成できます。
メッセージの発信
再利用を促す文言を入れ、印刷物自体の取り扱いを提案することで、リサイクルによる資源保全や廃棄物削減に貢献します。また、印刷物内でSDGsへの取り組みや社会的責任を説明することで、SDGsの普及に貢献します。
言語の選択
多言語での作成や、ユニバーサルデザインを採用します。SDGsの「質の高い教育をみんなに」と「平和と公正をすべての人に」といった目的に貢献します。
他媒体との連携
デジタル媒体と連携して利便性を促すとともにページ数を削減します。紙やインキ、エネルギー使用の軽減を通じて、環境に配慮した印刷物にできます。
細部を意識することによって、SDGsに貢献する印刷物作成が実現します。印刷物制作では、自社の方向性を明らかにすると同時に、依頼者の意図に沿って印刷を実施できる事業者の選定が重要です。
SDGsな印刷で社会に貢献できる企業姿勢を示そう
SDGsへの取り組みは企業にとって大きな意義があります。同じ印刷物を発行するのでも、用紙やインキ、デザインなどの選択により、SDGsを意識した作成が可能となります。企業にとってさまざまな冊子の制作は、欠かせない活動のひとつです。ポイントを押さえながらSDGsに配慮することによって、環境への負荷を減らしながら、企業姿勢を社会に示していくことが可能です。
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