ブランディングとマーケティングの特徴を解説!それぞれの定義や違いをくらべてみよう
ブランディングとマーケティングは、いずれもビジネスでは欠かすことのできない用語ですが、両者の明確な違いや関係性について説明するのは意外に簡単ではありません。この2語は経営戦略としての関連性が高く、企業が成長していくうえで重要な取り組みとされています。今回は、ブランディングとマーケティングの違い、それぞれの目的や種類といった基礎的な知識を解説します。
目次
・ブランディングとマーケティングの定義
・ブランディングとマーケティングの違い
・ブランディング活動の手法
・マーケティング活動の手法
・ブランディングとマーケティングの関係性
・マーケティングの軸となるブランディング
ブランディングとマーケティングの定義
はじめに、ブランディングとマーケティングの違いを、それぞれの定義に従って解説します。
マーケティングは、直接的な利益獲得に向けた活動プロセス全般を指します。具体的には、市場や消費者について調査・分析した結果をもとに、商品・サービスの開発、価格の設定、広告やプロモーション、流通チャネルの拡大などを行います。一連の活動を通して、自社の事業や商品・サービスの持ち味や魅力を消費者にアピールして事業利益につなげることがマーケティングのねらいです。一方ブランディングは、自社が理想とするイメージを社会に定着させることを目的とした取り組みです。両者の違いを詳しく見ていきましょう。
⮚ ブランディングの定義
企業やサービス・商品などのブランド力の構築を目的とする活動です。一般財団法人 ブランド・マネージャー認定協会では、ブランドを以下のように定義しています。
「ある特定の商品やサービスが、消費者・顧客によって『識別されている』とき、その商品やサービスを『ブランド』と呼ぶ」 とされています。
(引用:ブランド用語集|一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会:https://www.brand-mgr.org/knowledge/word/)
つまり、ブランドは消費者側からその価値を認識されて初めてブランドとしての地位が確立されるといえます。企業においては”ブランド価値=企業のイメージ”となり、消費者に企業価値を認識されることが重要といえるでしょう。
ブランディングでは、商品・サービスのアピールをするだけではなく、消費者に自社の理想とするイメージを抱いてもらうための取り組みを行います。例えば、企業理念や経営姿勢をアピールして消費者の理解や共感を得るといったことが挙げられます。
⮚ マーケティングの定義
マーケティングの定義は諸説ありますが一般的によく知られているのは、アメリカの経済学者でマーケティングの権威であるフィリップ・コトラーによる
「マーケティングとは、個人や集団が、製品および価値の創造と交換を通じて、そのニーズやウォンツを満たす社会的・管理的プロセスである。」
(引用:16のマーケティングの定義を集めました|カイロスマーケティング株式会社:https://blog.kairosmarketing.net/marketing-strategy/marketing-definitions-140508/)
というフレーズです。
公益社団法人日本マーケティング協会の定義では、
「マーケティングとは、企業および他の組織がグローバルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動である。」
(引用:マーケティングの定義|公益社団法人日本マーケティング協会:https://www.jma2-jp.org/jma/aboutjma/jmaorganization)
としています。
マーケティング活動では、市場や消費者について調査・分析した結果をもとに、商品・サービスの開発、価格の設定、広告やプロモーション、流通チャネルの拡大などを行います。
この一連の活動を通して、自社の事業や商品・サービスの持ち味や魅力を消費者にアピールして事業利益につなげることがマーケティングのねらいといえます。
ブランディングとマーケティングの違い
ブランディングとマーケティングは活動や概念、戦略などに明確な違いがあります。それぞれの観点からみた違いを比べてみましょう。
ブランディングとマーケティングの活動や戦略の違い
⮚ 概念による違い
- ブランディング:どうありたいか、あるべき姿を考慮する
- マーケティング:売り上げ向上やリピーター獲得などの目的のためにどうするか
「なぜその行動が必要か(WHY)」と「何をどうやるのか(HOW+WHAT)」という違いが出てきます。
⮚ 活動による違い
- ブランディング:ブランドイメージを高め他社との差別化を図る活動
- マーケティング:目的達成のために行う活動
ブランディングが企業の存在そのものを表すのに対して、マーケティングは実際に行う行動を指しています。
⮚ 戦略として考える場合
- ブランディング:社会における存在意義、企業としての使命という根本的な意味に基づき策定
- マーケティング:企業というブランドの存在ありきで利益を得るために設計
⮚ 成果について考える場合
- ブランディング:自社やブランドについて社会的な認識を強化し、存在価値を最大限に高めていく取り組みとなるため、成果自体は目に見えない
- マーケティング:市場活動を通じて継続的に利益を獲得することを目的とし、各段階での数値目標(KPI)がある
マーケティングは利益獲得に向けた事業戦略の基盤であり、ブランディングはそのうちのひとつという位置づけであるともいえます。マーケティングの活動においては、ブランディングの基となる社会における存在価値に沿ったものであることが求められます。
ブランディング活動の手法
ブランディングは、ブランドをつくる・構築するという意味です。そもそもブランドとは、上述したように、消費者や顧客によって「識別されている」特定の商品やサービスを指し、企業においては”ブランド価値=企業のイメージ”を指します。ブランドの価値にかたちはなく、商品やサービス、企業としてのイメージという無形のものになります。ブランディングは、自社が目指している価値観と、他者から見た価値観を一致させる取り組みであるといえるでしょう。
ブランディングの手法は事業内容や業態、対象によってさまざまですが、対象別に見ると、社外向けと社内向けに大きく分けられます。
社外向けのブランディングはアウターブランディングと呼ばれ、一般的にブランディングという場合にはこちらを指しています。
アウターブランディングは顧客、取引先、消費者全般などの社外を対象とします。コーポレートアイデンティティや企業理念、社会貢献の意志、ビジョンといったものに沿いながら、多様な表現方法を用いて企業のあり方を対外的に伝えます。
長期的なアウターブランディング活動を行ってブランドとしての存在が認められれば、多くのファンを獲得できます。商品やサービスを通じて、末永く価値や体験を提供し続けることも可能です。
社内向けのブランディングはインナーブランディングと呼ばれ、自社で働く従業員に向けた取り組みを指します。従業員が企業理念やビジョンへの理解を深め、自社の企業価値を知ることができれば、そこで働く誇りや充足感を得られます。自社に対する貢献感、同僚との一体感といった感覚を従業員が持つことにより、組織の求心力が強化します。
インナーブランディングでは、企業と個人を強く結びつけて意識や志を統一し、企業理念を自分ごととしてとらえることのできる企業文化を醸成していきます。
ブランディングについての詳細は、以下の記事もご参照ください。
関連ブログ:「ブランディングは従業員から!企業が注目すべきインナーブランディングの効果とは?」
関連ブログ:「コーポレートブランディングとは何か?基礎知識と活用、進め方を解説」
マーケティング活動の手法
マーケティングは単なる「調査」や「広告」「販促」ではありません。ターゲット市場のニーズを探り、それを満たす価値を提供しながら、利益に結びつけていく取り組みです。
消費者や顧客がサービス・商品購入決定にいたるまでの企業活動全般がマーケティングであるといえるでしょう。一部の活動ではなく、消費活動の過程全般にかかわり、最終的な成果を得ることを目的とします。
マーケティングには大きく分けて消費者を対象とするB2C (BtoC) マーケティングと、企業を対象とするB2B (BtoB) マーケティングがあります。さらに不特定多数をターゲットとするマスマーケティング、先鋭化させたターゲットに狙いを定めるダイレクトマーケティング、従来とは違う視点を持って革新的な方法で行うゲリラマーケティングといったものへと分類されます。
具体的なマーケティング手法は、リアル・デジタルを合わせると非常に多岐にわたります。
従来型のリアルマーケティングには、企業から消費者に向けて広く発信を行うタイプが多く見られます。その代表的な例がテレビCMや新聞広告を使ったアウトバウンドマーケティングや、ピンポイントで営業するテレマーケティングです。
現在、各企業が主流として力を入れているデジタルマーケティング分野では、日々新しい施策が次々と試されています。すでに良く知られているものでは、検索エンジンの特性を活用したSEO(Search Engine Optimization=検索エンジン最適化)やGoogleマップ上で優位性のある場所に表示されるMEO(Map Engine Optimizatio=地図エンジン最適化)、ユーザーに有益な情報を提供しながら共感や信頼性を得ていくコンテンツマーケティング、SNSの双方向性と発信力に着目したソーシャルメディアマーケティングなどがあります。
インターネットの普及からすでに長い時間を経た今では、メールマーケティングやアフィリエイトマーケティングなどがデジタルマーケティングの草分け的手法となりつつあります。今ではさらに消費者に対して強力なイメージを提供する動画マーケティングや、戦略的に大きな話題性を作り上げていくバズマーケティングといった手法も多用されるようになってきました。消費者や顧客がサービス・商品購入決定にいたるまでの企業活動全般がマーケティングであるといえるでしょう。
ブランディングとマーケティングの関係性
ブランディングはマーケティングの一部とされますが、順番的には、ブランディングが先行します。ブランディングにより、消費者が持つ企業へのイメージ、商品やサービスの価値、魅力が変わるからです。ブランディングに成功しているほど、マーケティング活動での成果が得られやすいのです。
ブランディングに成功すれば、消費者の選択時における優位性を獲得でき、顧客を「ファン化」(固定化すること)して安定的な利益が期待できます。
ブランディングによる差別化で、「○○(ブランド・企業)の商品・サービスだから選ぶ」という消費者行動を促すのです。市場競争では、他社と商品・サービスの内容、販促力が拮抗している場合には、ブランドの価値が勝敗を分けます。
いくら自社が自信を持って商品・サービスを提供していることをアピールしても、消費者からの支持がなければ成果につながりません。ブランディングは、認知度の拡大、信頼性の向上、利用することの価値といった面で、マーケティングに大きな役割を果たします。
このように、ブランディングとマーケティングは密接にかかわり合うため、常に同一の軸による展開が重要なのです。
ブランディングとマーケティングが良好な成果を上げている企業の事例を紹介します。アウトドア用品の世界的メーカーであるパタゴニア社は、環境問題への取り組みをブランディングの軸としてキャンペーンを展開し、ブランド価値を向上させています。同社の企業理念は次のように掲げています。
「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む。」
(引用:パタゴニアの企業理念が「地球を救うためにビジネスを営む」に変更。その深いワケとは?|Patagonia:https://www.huffingtonpost.jp/entry/patagonia-food-provision_jp_5d099e1ae4b06ad4d2580dbf)
2011年11月には、
自社商品の写真を使った広告「Don’t Buy This Jacket(このジャケットを買わないで)」
(引用:「Don’t Buy This Jacket(このジャケットを買わないで)」:ブラックフライデーとニューヨーク・タイムス紙|Patagonia: https://www.patagonia.jp/stories/dont-buy-this-jacket-black-friday-and-the-new-york-times/story-18615.html)
を新聞に掲載し、環境問題への注意を明確に促すことで、理念を実行に移しています。
ブランディングとマーケティングにおける施策では、メッセージや制作物の統一感が大切です。ブランディングで打ち出した企業としての姿勢を、マーケティングでさらに印象づける。それを実施することで企業としての強い意志を示し、ブランディングとマーケティング間での良い循環を生み出します。
マーケティングの軸となるブランディング
マーケティングは、最終的な営業利益獲得を目指すための、すべての活動の総称ともいえます。対してブランディングは、企業やブランドの価値を広く社会に受け入れてもらい、定着させるための取り組みです。ブランディングが成功していなければ、マーケティング施策を円滑に進められず、思うような結果が得られない可能性もあります。マーケティングとブランディングは、どちらも事業経営の両輪となる考え方であることを正しく理解していれば、相乗効果による大きな成果へとつなげられます。
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