表紙加工の比較① ~擬似エンボス VS PP加工編~
前回は擬似エンボスを含む、様々な表紙加工を挙げてみました。全てご存知でしたでしょうか?今回は、その中の一つ「PP加工」をとりあげて、擬似エンボス印刷と比較してその機能を掘り下げてみましょう。
PP加工とは?
「PP加工」とは印刷用紙の表面に特殊なフィルムを貼り付けて表面をコーティングする加工のことです。比較的オーソドックスな表紙加工で認知度も高いように思います。
似たものに、「ラミネート加工(パウチ加工)」や、「ニス引き」があります。(下図にて説明)
本来はコーティングすることで用紙の強度を上げて、長く使えるようにするためのものですが、高いツヤ感を得ることが出来るため、表紙だけ仕上がりを変えたいためにPP加工をする場合もあります。
呼び方は「PP加工」(ぴーぴーかこう)、「PP貼り」(ぴーぴーばり)、のほか単に「PP」(ぴーぴー)と呼んだりします。
PP加工 | PP(ポリプロピレン)フィルムで表面保護。若干薄い。ラミネートよりは柔らかい。 |
ラミネート加工 | PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムで表面保護。若干厚い。頑丈。固い。「耳」が基本的には出る。 |
ニス引き | 印刷用のニスで表面保護。被膜がPPに比べ薄い。強度は強くない。部分的に塗布したり出来る。「擬似エンボス」もこの分野。 |
PP加工にも種類がある
PP加工にも種類があります。それは「ツヤPP」(グロスPP、クリアPP)と、「マットPP」の2種類です。その名前の通りで、「ツヤPP」は表面が光沢になるのに対し、「マットPP」は表面がマット調(つや消し、シルキーな仕上がり)になります。PP加工を行う場合はこのどちらなのかを明確に指定しないといけません。
またホログラムなどを施せるものも広い意味ではPP加工と呼んだりします。
「擬似エンボス」との比較(PP加工)
では「擬似エンボス」と比較をしながらその性能をみてみましょう。
擬似エンボス | PP加工 | |
光沢度 | 〇 | ◎ |
強度 | △ | 〇 |
耐光性 | △ | 〇 |
防水性 | × |
△(端からは弱い) |
デザイン性 | ◎(絵柄に合わせて自由にデザイン出来る) | ×(全面ツヤか全面マット) |
価格 | ◎(枚数が増えるほど単価下がりやすい) | 〇(枚数が増えてもあまり単価変わらない) |
納期 | ◎(印刷と同じスピードで行うことが出来る) |
〇 |
先述したように、PP加工はフィルムを貼るため表面が強く保護されます。かなり力を入れないと破れません。それに比べ、擬似エンボスはニスを引くだけなので、強度としては比較的弱く、破れもしますし、水もそんなにはじきません。
その代わり、擬似エンボスはデザイン性に富んでいて、4色カラーと同じように、自由にデザイン出来ますし、ツヤとザラザラした部分を使い分けて文字や絵柄を表現出来ます。PP加工では全面ツヤか全面マットかの2種類になってしまいます。
金額は、印刷で行う擬似エンボスは枚数が増えれば増えるほど単価が下がっていきますが、PP加工はあまり単価が下がってきません。しかしどちらも表紙加工の中ではかなり安価な分野ではあると思います。
まとめ
「ある程度量があって、デザイン性を求めるなら擬似エンボス」「長期間使用するなど強度を求めるならPP加工」といった感じでしょうか。
また次回は他の表紙加工との比較をしてみたいと思います。どうもありがとうございました。